計画を「書類」で終わらせない—実効性確保の重要性

BCP策定後の最大の課題

連携型BCP(連携事業継続力強化計画)は、策定そのものが目的ではありません。
真に重要なのは、災害時に連携事業者が有機的に機能し、現実的に行動できる計画となっているかです。

単独の事業継続計画と異なり、連携型BCPは複数の事業者が関与するため、役割の不明確さや運用の不一致が生じやすい傾向にあります。
したがって、「実効性のある運用」を意識した設計こそが、計画の生命線となります。

実効性確保のために必要な二つの柱

実効性を高めるためには、次の2つの取組が不可欠です。

  1. 協定等の整備 — 連携の意思と役割を明確化する仕組み
  2. 平時の運用体制の構築 — 訓練や情報共有を通じて機能を維持する体制

この2本柱によって、初めて連携型BCPは「実際に機能する仕組み」として成立します。


連携の意思を明確化する「協定等」の整備

協定の必要性と目的

連携事業者間の協定は、単なる形式的な文書ではなく、有事における行動基準を法的・実務的に定める契約的枠組みです。
必ずしも正式な契約書形式を取る必要はありませんが、少なくとも「合意の内容」を記録し、各社の役割・責任・判断基準を明示しておくことが求められます。

これにより、災害発生時にも混乱なく迅速な意思決定が可能となり、連携の実効性が格段に高まります。

連携のデリケートな論点:合意すべき主要事項

協定等の整備にあたっては、特に次の3項目を明確にしておくことが重要です。

  • 代替生産の解消時期
    被災した事業者の設備が復旧した際、代替生産関係を終了し、元の生産体制に戻す条件と手続を明記します。
  • 技術・ノウハウの保護
    製造技術・生産ノウハウ等に関する守秘義務を設定し、第三者への漏洩を防ぐ条項を設けます。
  • 平時からの情報共有体制
    共同生産や設備利用に備えた設計情報・供給情報等の共有ルールを平時の段階から整備します。

これらは**「信頼関係を法的に裏付ける」**ための要素であり、後の紛争防止にも直結します。


有機的な連携を実現する「平時の運用体制」

全員参加の「推進体制」の整備

実効性を高める第一歩は、全ての連携事業者が関与する推進体制の構築です。
各社の経営者が参加する定期会議を設け、計画の進行状況や改善点を共有します。
特に中小企業では、経営トップが主導的に関与することで現場への浸透度が大きく高まります。

推進体制は次の要素を含むことが望まれます。

  • 代表事業者または調整役の明確化
  • 意思決定プロセスの合意
  • 緊急連絡体制の確認

共同での「訓練・教育」の実施

BCPは訓練によって初めて“使える計画”になります。
特に連携型BCPでは、複数の企業が同時に動く訓練を通じて、実際の対応力を養うことが不可欠です。

  • 年1回以上の合同訓練の実施
  • 役割分担・報告フローを含む模擬演習
  • オンライン参加(遠隔地事業者向け)による全員参加型訓練

これにより、平時からの連携が自然と定着し、緊急時にも落ち着いた対応が可能になります。


外部機関との「情報連携」と計画の維持

連携事業者間の情報共有に加え、行政機関・インフラ事業者・地域団体との定期的な情報交換が重要です。
これにより、地域防災計画や支援制度との整合性を確保し、行政との協働もスムーズになります。

さらに、以下の運用を徹底することで、計画の鮮度を保てます。

  • 訓練結果・経営環境の変化を踏まえた年1回以上の見直し
  • 新規参入・脱退事業者への再教育と契約更新
  • 記録・議事録の保存と共有による透明性確保

こうした定期運用が、「策定して終わり」ではないBCP文化を根づかせます。


結論:実効性を保証する専門家サポート

連携型BCPは、「計画策定」よりも「運用設計」こそが成功の鍵です。
特に、代替生産の解消時期や技術ノウハウの保護など、センシティブな合意事項を盛り込んだ協定の作成には、法的な知見が求められます。

行政書士は、こうした協定書や覚書の作成、関係者間の合意形成支援、計画更新の運用支援を通じて、
「書類で終わらないBCP」=実際に動く連携計画を実現します。

行政書士事務所 POLAIRE(ポレール)

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